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10.11 ザクザク髪を切って ジャキジャキ鋏をならす よごれた鏡 蛇口からは 苔色した液体 秒針のリズムで 壁にさされた画鋲が数個おち くるくるまわりころげる 蛍光灯がちらちら点滅をくりかえす その壁の白 白でない白のなかで、鋏をならし きたないおまえは いっしょうけんめい鏡のおまえをみる 螺子のとれた眼鏡の 足の裏には画鋲がささってしまっていて、ちいさな針がぷすりと おまえは鋏をならし 二つの刃がこすれ ぎらりぎら 重たく おまえは鋏をならし しろくないおまえじしんをにらみ切る切るきる 黒でない黒の髪がはらはらと おまえのしろくないからだはきられ おまえにきられ ジャキジャキ鋏はどんどんよごれ おまえはおまえにきられ きられ おまえはおまえをきる きる 鋏はなる 重たくひかる 切り終えたからだのがたがたのおまえ 鏡をみつめ ひとつ 深く、息をしてから 白でない白のへやを がたがたとでる 外は苔色の雨がふる 7.21 そのマンションの14階 その部屋ベランダからある男がとびおりた おとこは羽根が生えていたわけでもなく 金色の粉をあびたわけでもない だからそのままおちた 飛びたかったわけではない だから失敗ではない とびおりることに成功した 14階の部屋のその住人のおとこ コンクリートにつぶれてとびちった 彼のつぶれた身体は ああ、きっとそんな臭いだったとおもう 通行人はおとこがおちてきてつぶれるのを見ていた そんなに長くはなかったがみな一部始終みのがすことはなかった すべて見ていた かおいろをかえるものはいない なにもめずらしいことではないようなめだ そして ゆっくりとつぶれたおとこのその身体にひとびとは群がる せっせとそのおとこの肉片をみなあつめる だれもことばを発することはない 肉片をのこらずかきあつめている とくに特別な感情もない コンクリートがおとこの血液でくろくくろくなる ひとりのうつくしい少女はコンクリートにしみこむおとこの血液体液それらをなめる 手を地につけすべてなめてゆく しろい少女のほほにおとこの血液がぬれていた うつくしい少女はうつくしく舌をコンクリートにはわせる ひとびとはあつめた肉片そして彼の骨 みなそれぞれにポケットに鞄に頬にひそませる 少女が地面をなめおわる しろい少女はかわらずしろい さわさわと群衆はちらばってゆく なにもなかったようにひとびとは元の生活へとかえってゆく 普段となにもかわらない時間にもどる ぬるい風がゆったりふきぬける 平和をおもう ただひとつちがうみなのポケット 鞄 頬のなかにその男の肉片 骨がひそんでいる みななにひとつ変わらずただ男のかけらをもっている おとこの血液体液それはそのうつくしい少女にのまれ その舌に絡み胃液とぐるぐるまざりあっている 14階のその部屋のましたのコンクリート つぶれたおとこはあとかたもない みなもっていかれた ああ、ただひとつ おとこの左の目ん玉がごろり転がって おとこの住む14階の部屋の2階したの住人の持つくるまのしたに 目ん玉はぎょろぎょろそこから見える景色をみている 感情はもたない みえるからみている 14階からとびおりたおとこは とびおりることに成功した うまくつぶれたもんだとおもう ただもっていかれた肉片 骨がどうなるのか 一体どうしたもんか とびちったのうみそのかけらかけらが思っている 一体どうしたもんか 7.20 つめたいにごったでも澄んでいるみずのなかで わたしはからだをふやかしてそのままみずになるのを待っている 下のほうみえないしたのほうに おちているすべてをみようとする ここは青くなんかない ただつめたくにごった澄んだみず ゆっくりくろいかみの色素ぬけながらうえをみているうえとしたの感覚はちゃんとある わたしがあるときであったそれは 水面にうつるそれは したにいたわたしからみたうえの つめたいにごったでも澄んでいるみずのなかで わたしはゆっくりないている なみだをぽろぽろおとすから いつまでもみずにとけることができない 肺で呼吸をしている わたしは肺と肺のあいだがじくじくするないている啼いている ふやけたわたしはおまえはなんてみにくいうつくしい 六角形のたいようがわたしのめをつぶす わたしはなおないている うえとしたの感覚はちゃんとある うえをみている みずにとけることができない ふやけたからだ感覚がない ふれることふれられること感覚がない うえをみている うえをみているのだとおもう そこにそれがあるのかもしれないからわたしはうえをつねにみている なくこともなくないている つめたいみずがつめたいのか にごっているのかすんでいるのかわからなくなっている ただゆらゆらしている ここはみずのなかではないのかもしれない したのほうにきているのかもしれないし うえのさらにうえにいるのかもしれない ただうえをみることができているならそれでいい そこがうえでそこにそれがあるとおもう わたしはみずになりたいとおもわなくなっている もうみずになっているのかもしれないとおもう そしたら わたしにそれがうつっているかもしれないそれがきみがわたしに うえをみてゆらめいている そっちが上だ 7.02 七月 雨がふる 傘がおもたい ぬれた制服しろのブラウスすけてわたしの肌の色がみえる きみのなまえをきいた きみのなまえをきいたよ きみのことを つよくこんなに鮮明に思い出してしまったね なんども無意味にきおくをなでまわして わたしは きみのなまえはわたしのなかにまだ きみのなまえがすきだった きれいななまえのきみの あの八重歯とがったので 噛んで噛み砕いてわたしをころして ころして すけたブラウス 紺色のりぼん、くろく きみはまだそんなとこにいたの そんなちかくにいてもらってはこまるよ 息が、つまる きみのなまえはかわらない わたしのあたまのなかでもそとでも きみのなまえは いつもきれい 七月 風がふく わたしはきゅうっと心臓ちぢまる きみのなまえばかりだ 体内わたしの 風でとばされようか きみがその八重歯でかみころしてくれぬのなら --- ねえ なんで。なんできみじゃないのです そんな汚い目で なまえ さえ しらないのに なまえいとしいなまえ しっているのになまえ なんできみじゃないのです きみであるならよかったのに なんできみじゃなかったのです 6.28 昨日の夕方5時すぎ頃 ぐるぐるねむけに逆らうことなくベッドにもぐる 6時からは予備校なのに、こんこんこんこんねむりつづけます。すこし意識があって ああよびこう、よびこう、とおもった気がします (こんこんっていったいどういう表現だへんなの)そうそれで ああよびこう、きょうは講評、こうひょう、おもったけれどわたしはこんこんとねむりつづけて めがさめて ああ!とおもったのは明日のきょうの11時 23時じゃなくて11時 すごくねむったのにそんなにたくさんの時間をねむっていたきがしなくて、自分のことながらすごいなへんな感心 ずっとねつづけたあつくるしい部屋のベッドとわたしは、もう夏のむしむし蒸し暑さと汗のにおいがむわっとしていて ねむってねむってもうなつやすみに来てしまったかななんて 窓をめいっぱいあけてみたって とくに風はふいて来ず、ベッドとわたしはほてっている へやの空気がよどんでいる 雲が真っ白でおおきかった もう夏じゃないか、ねむっているうちに夏にきたのね とおくのちかくでギャギャギャギャってかわいげない工事の音がして わたしはシャワーをあびて濡れた肌はすこし風をかんじた。明日になんかなってほしくないよ あさがすきっていえるようになれたらいい 朝はきらい ずっと夜でいいんだ風のにおいがすきなんだ どこでどうやりなおしてみれば わたしはわたしにならないですんだかな どこでどうしたってわたしはわたしになってしまいそうで ざんねん ああそれにこんなことを考えてみたってどこかでどうにかやりなおせるわけでもない シャワーをあびてすっきりしてあついのはにがて でもクーラーもすきじゃないんだあ、クーラーあびながら ずっとねむっていたから からからの身体に いっぱいのプラスチックのコップで麦茶 胃にするする落ちていく感覚がしっかりとわかって なんだかうれしい、2杯 3杯のんでおなかたぷたぷ わたし また、あしたにいかないといけないんだあ、 あんなにねむったのに もう、また、まだ ねむたい ゆめをたくさん見過ぎてきおくしきれないあたまぱんぱん脳みそちいさいからね あしたに、いかないと 1/9 >>
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